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コースメンテナンス - Maintenance -

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■ ■ ■ グリーンキーパーのひとり言(36) ■ ■ ■

■ゴルフ場設計

今年の関東地方は事実上の梅雨明けがお盆時期になったような長雨の夏で、雨を願う例年の夏も大変ですが、降りすぎも勘弁して・・・
結局、どんな天気でも野村監督みたいにぼやく自分が情けないですが、あっという間に秋風が吹き始め、久々にコラムを書いています。

清澄ゴルフ倶楽部No.1
清澄ゴルフ倶楽部No.1

清澄ゴルフ倶楽部No.6
清澄ゴルフ倶楽部No.6

清澄ゴルフ倶楽部No.18
清澄ゴルフ倶楽部No.18

家を建てる時に設計士がいるように、ゴルフ場を建設する場合必ず何らかの形で設計者が存在します。
「何らかの形」というのは、色々なパターンがあって、

 ①著名なゴルフ場専門設計者
   (ピート・ダイ、デズモンド・ミュアヘッド、井上誠一、大久保昌など)

 ②有名なプロゴルファーの設計者
   (ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、尾崎将司など)

 ③造成するゼネコン(もしくはその社員)が設計
   (○○建設、○○組など)

 ④ゴルフ場のオーナーが設計者

以上が主な例でしょうか・・・
もちろん、専門家ではない人が、詳細な図面を書けるわけないので、その関わりの程度によっては、「プロゴルファーの○○監修」というコースも存在します。
いずれにしても、ゴルフ場は自然の中に造るので、ひとつとして同じコースは存在せず、自分がプレーするコースは「だれの設計だろう?」ということを毎回確認すると、楽しみがもう1つ増えるような気がします。

日本海カントリークラブ①
日本海カントリークラブ①

日本海カントリークラブ②
日本海カントリークラブ②

日本海カントリークラブ③
日本海カントリークラブ③

日本にもJSGCA(日本ゴルフコース設計者協会)という組織があって、様々な活動をしています。清澄ゴルフ倶楽部の設計者、大久保昌先生は、その名誉理事で、当倶楽部もそのご縁から賛助会員として登録されています。
この会では、年に数回、プレーを含めた研修会が実施されていて、先日は新潟県の日本海カントリークラブで開催され、私も参加してきました。
このコースも大久保先生の作品で、1973年開場の歴史あるコースです。立地はシーサイドですが、元の砂丘を生かした適度なアンジュレ-ションがあり、最初は海が見えたといわれる赤松林も大きくなり、風格あるコースに育っています。
大久保先生の日本海CCの設計コンセプトは

 ①シーサイド特有の海風を配慮したレイアウト
 ②松の大木、林をハザードとして生かし、バンカーは減らす
 ③自然のままの砂丘の姿を生かし、損なわないような造形
 ④砂地に客土をしないで芝生の植栽を図る

となっていて、その思想が美しいコースレイアウトに反映されていました。
メンテナンスも夏の終わりのこの時期としては素晴らしく、グリーンキーパー、コース管理スタッフの熱意を感じました。
プレー後の研修会には支配人やキーパーも参加していて、うるさい先生方(笑)の講義や質問に丁寧に対応していた姿が印象的でした。
私も少し発言する機会を与えられましたので、同じコース管理者としての目線で感想と疑問点を質問し、大変勉強になりました。日本海CCの最大の特徴は、どこを掘ってもバンカーになるほどの砂地で、清澄とは全く異なる条件ですが、どこでも与えられた条件の中に苦労があり、グリーンキーパーはその条件の中で最大限の努力が必要だということを再認識させられた1日でした。

類似形(清澄No.9)
類似形(清澄No.9)

類似形(日本海)
類似形(日本海)

類似形(清澄No.4)
類似形(清澄No.4)

しかし、内陸の清澄GCと海辺の日本海CC、しかも20年以上の造成時期に違いがあるにもかかわらず、コース内に同じ設計者を感じさせる場面が何度もあり、改めてコース設計の面白さを感じることができました。
例えばどこが?と聞かれると、

 ①グリーンのアンジュレ-ション
 ②バンカーのラインと造形

が特徴的なところでしょうか。特にバンカーのライン出しは、一目で大久保作品とわかる場所も多く、我々の日々のメンテナンスにも大いに関わってくるところです。その意味では、今回他の会員からも指摘がありましたが、バンカーのエッヂ切りがしっかりされていない箇所もあり、設計者が見るとがっかりしたところだと思います。ただしこの手の仕事は人手が必要で、人員削減が進む業界では悩みの種であることも事実です。
設計者は見た目の美しさや難易度を上げるための造形を考えることも重要ですが、それを後々どのようにメンテナンスするのか・・・ そこまで考えて設計するべきだと私は感じています。
新設造成がほとんど止まった現在でも、今後も様々なコースで、設計者による改造工事は続くでしょう。
その時に「メンテナンスで手作業を増やさない」コース設計を!
乗用機械もかなり進歩しています。それらを最大限に利用し、美しいコースを保つような造形が可能だと思います。どんなに素晴らしい設計もその後のメンテナンス次第では台無しになってしまうのですから・・・

 

 

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー野呂田 峰

 

 

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