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コースメンテナンス - Maintenance -

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■ ■ ■ グリーンキーパーのひとり言(74) ■ ■ ■

■引退

 昨年は新型コロナウイルスに世界中が翻弄され、感染しなくても生活が一変してしまった人々が大勢います。皮肉なことに、スポーツの中では、広いフィールドで、人との接触も少ない「ゴルフの安全性」が再確認され、プレー機会が増加したともいわれています。
 私自身は学生時代からゴルフと関わっていたため、自然な流れでゴルフ業界に就職し、農学部出身ということもあり、グリーンキーパー一筋の毎日でした。その頃の職場は、大きなグループ会社で、バブル期に新設コースが乱立する中、コース管理の親方であるキーパーになったのは、僅か6年目の事でした。当時頼りにしたのは、近隣コースのベテランキーパー達で、私の眼には「何でも知っていて、どんなトラブルにも対応できる」ように見えました。
 振り返って考えると、今の自分がまさにその世代なのです。確かに知識や技術は当時とは比べ物にならないでしょうが、毎日、毎年、正解のない世界で、悪戦苦闘を続けてきたように感じています。

冬の防寒シート
冬の防寒シート

3月放映の番組収録
3月放映の番組収録

3月放映の番組収録
3月放映の番組収録

 これまでにもコラムの中で、「ゴルフのマネージメント」がそのまま仕事にも生かせるという話をしてきました。キーワードは、「イメージ力」と「プラス思考」です。
 ゴルフは次の1打を放つ前に「最善の球筋をイメージする」競技です。もちろん、イメージ通り打てない、転がせない、ことがほとんどです。ただ諦めずに、良いイメージを描いてから打つことを繰り返していると、誤差の範囲が狭くなっていきます。アンダーパーでラウンド後のプロに話を聞いても、本当にイメージ通りの1打は、1日で2,3球だったという答えが返ってきて驚きます。我々よりも誤差範囲が狭く、精度が高いだけで、満足する割合は変わらないということです。
 タイガーウッズと長年同じフィールドで戦った某解説者が、「彼は世界一逃げるのが上手い・・・」という表現をしていました。例えば左ギリギリのピンに対して、トーナメントをリードしている場面では、必ずワンピン右に打ってくる・・・と。しかし攻めが必要な時には、しばしばピンを狙い、時として絶対やってはいけない左に外すミスも犯します。ところがここから次の1打に集中し、奇跡的なチップイン・・・なんて映像を我々は何度見せられたことでしょう。ミスを振り返るよりも「プラス思考」で、次にできる「最善のイメージ」に気持ちを切り替えるのでしょう。言葉にするのは簡単ですが、ミスやマイナス思考を頭から追い払うのは容易ではありません。

毎日のコース管理
毎日のコース管理

景観の美しい当倶楽部
景観の美しい当倶楽部

景観の美しい当倶楽部
景観の美しい当倶楽部

 コース管理の仕事は特に天候との闘いです。人為的なミスがなくても、自然災害的にコンディションが低下することはままあります。そんな時にベストショットは望めなくても、
守るのか?攻めるのか? 瞬時の判断と行動が試される仕事だと思っています。
 コラムでも「ボヤキ」が多かった事実は認めます(笑)が、決して悲観的なことばかりではありませんでした。良い季節に、満足な状態のコースにひとりでいると、本当に気持ちの良い満たされた空間です!
 グリーンキーパーとしてやりたいこと、やり残したことはまだまだありますが、この度、後輩にそれらを託し、新米支配人として、清澄ゴルフ倶楽部を支えていくことになりました。
 同時に平成16年(2004年)から気まぐれに書き始めた「グリーンキーパーのひとり言」も一旦幕を下ろす形となります。
 グリーンキーパーとして何とか30年続けてこられたのは、日頃から親身になって相談に乗ってくれた同業者(キーパー)の皆様、工事、資材等常にバックアップして頂いた関係者の皆様のお陰だと深く感謝しております。
 今後も立場は変わりますが、私と清澄ゴルフ倶楽部に変わらぬご支援を頂ければ幸いです。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー野呂田 峰

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