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コースメンテナンス - Maintenance -

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■ ■ ■ グリーンキーパーのひとり言(35) ■ ■ ■

■ワングリーンのエアレーション2

「ひとり言」も5年以上続くと、その間にコースメンテナンスの理論も若干の変化が出てくるものです。
グリーンのエアレーションについては過去(平成17年5月)にも一度話題にしていますが、その後も私なりに様々な研究をしてきました。
毎日使用するワングリーンで、この作業がお客様のクレームナンバーワンであることは今でも変わりがなく、まだまだ2グリーン文化の根強い埼玉県では、とても頭の痛い作業です。
基本的な作業はバックナンバーを読んでいただくとして、その後新たに導入した機械や資材を中心に話を進めたいと思います。

自走式の高速機械
自走式の高速機械

サイドオープンタイン
サイドオープンタイン

エアレーション跡
エアレーション跡

エアレーションの機械もコースマンの立場からみるとトラクター牽引式の方が体力的には楽なのですが、芝生が苦しい時期(夏明け等)に乗用機械はタイヤの踏圧ダメージが出ます。

そんな悩みを解消してくれたのが、ここ数年爆発的に売れているT社の自走式エアレーターです。この機械は「高速作業」「綺麗な仕上がり」「抜いたコアをタイヤで踏まない」等々、これまでのエアレーターの弱点を全て克服した優れものです。

唯一の問題は、自走式であるために、作業と移動で引っ張るオペレーターが疲れるところでしょうか・・・。スタッフの皆様ご苦労様です!

トラクター牽引機械
トラクター牽引機械

スイーパー作業
スイーパー作業

テスト中のすり込みブラシ
テスト中のすり込みブラシ

さて、本題はこの「エアレーションを何のためにやるのか」ということですが、まとめると、

① サッチ(芝カス等の有機残渣)の除去と新しい砂の補充空間を確保する。
② 気相を確保し好気性微生物による分解活動を助ける。
③ 固結土壌をほぐし、透水性を向上させる。

といったところでしょうか。

春のグリーン地下部
春のグリーン地下部

微生物分解資材
微生物分解資材

混合ミキサー
混合ミキサー

これまでは前回の話と同じで技術進歩がないようですが、ここからがポイントです。
田んぼや畑のように耕転できないグリーンの床土(砂?)の中で古い根などの有機残渣をどのように分解、コントロールしていくかが、グリーンづくりの最大の課題です。

これまでは、私を含め、多くのキーパーが、いかに好気性微生物(例えばバチルス菌)とそれらに由来する分解酵素を働かせるための環境づくりができるかに重きを置いていました。そしてその象徴がエアレーション作業です。

しかし、毎日の刈り込みローラーやプレーヤに踏みつけられ、硬く締まりやすいグリーンの地下部を好気(気相の多い)状態に保つのはかなり厄介です。

そんな中、分解微生物の研究を進めると、酸欠状態でも充分な活動をする有用な嫌気性微生物も存在することがわかってきました。そこで、「嫌気性=腐敗」という悪いイメージを改め、いくつかの微生物をテストしています。

サンドグリーンも造成当初の有機残渣が少ない時は、根張りも良く透水性も確保されるため、ほとんど問題が起こりません。ところが当倶楽部のように20年近い年月を経て有機物が増加してくるとサッチコントロールが大変重要になるのです。

もちろん、この手法にはそれなりのコストが掛かるので、頻繁にエアレーションをした方が良い!というアメリカ的な考え方も正論です。

ただ年間を通して繊細なグリーンコンディションを保つには、大きな更新作業が障害となるのも事実です。自分のコースの特性(グリーンの数、大きさ、入場者数、競技性など)と予算に応じたメンテナンス方法を構築していきたいと考えています。

最後に、肥培管理の重要性もお話しする必要があります。

芝生は収穫作物ではありません。必要最小限の肥料で徒長をおさえ、1固体を小さくつくります。その結果、分けつ促進され芽数も増えるのです。一見青々としていても横広がりで大きな固体のベントグラスは旱魃や過湿などの環境変化に弱く、管理を難しくさせます。成長調整剤の使用もこれらを手助けする上で欠かせない資材となりつつあります。
また数年後にエアレーションを含めた更新作業を語るとき、今よりもさらに良い手法が研究され、成果を発表できることを願っています。

 

 

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー野呂田 峰

 

 

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