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グリーンキーパーのひとり言47

オフシーズンの仕事

一雨ごとに春の足音が聞こえてきます。
この冬は例年以上に低温の日が続き、コースの凍結も想像以上でした。寒冷地では、雪が降らないとフェアウェイが凍ってボコボコになるという話をよく聞きますが、当クラブでも日陰で似たような現象が見られました。こういう年は休眠中とはいえ日本芝の芽出しに少なからず影響が出るものです。大きな被害にならなければ良いと心配しています。

  • 凍結した池

  • 排水工事2012

  • 切株除去作業

冬季はコース内の様々な問題を解消する時期でもあります。例年通りフェアウェイの排水不良箇所の工事をしたり、今年は10番ホールの右林帯を大規模に間伐したので、その切株を専用のグラインダーで除去する作業も行いました。この機械は優れもので、通常重機で伐根すると何時間もかかる作業を、数分で地面より低いところまで削ってくれるのです。
樹木の間伐をして日当りが良くなると裸地に近かった林帯も芝の生育が期待できます。自然に密度も上がってくるのですが、早く良い状態にしたいところは野芝を持ってきて芝補修をします。

  • 日当たりを改善した林帯

  • 排水マス工事

  • 芝補修

2番ホールのグリーン右下は、日当りが悪かったため間伐をしましたが、凹地で大雨が降ると表土が流されてしまうので、同時に排水マスを新設する工事も行いました。ここはコースから外れたエリアなのですが、ロングホールでミスをするとかなりの数のプレーヤーが来る場所なので、今後状態がよくなることを期待しています。

  • 抵抗性松の植樹

  • グリーンの土壌調査(1)

  • グリーンの土壌調査(2)

マツは日本の樹木の中でも代表的なものですが、昭和30年代から蔓延してきたマダラカミキリと材線虫によってゴルフ場でも維持管理が大きな負担となっています。予防や防除する手間と費用も大変ですが、枯れ松の処理も重労働です。当クラブはマツの林間コースではないのですが、それでも年間10数本は伐採しています。そんな中、公益社団法人ゴルフ緑化促進会からザイセンチュウの抵抗性アカマツを30本頂けることになり、試験的に植えてみました。苗木ですから、立派な樹木になるまで私が見届けられるかは疑問ですが、結果を楽しみにしています。
もうすぐ春というこの時期は、グリーンの1年の管理計画を立てる時期ともいえます。自分でも床砂の状態は常に観察しているのですが、今回は専門の分析機関にその物理性や一部化学性を調査してもらうことにしました。分析データはあくまで参考ですが、客観的な数値も時には必要です。これによって今年も更新作業や肥培管理の設計をつくりますが、こちらの都合より年間行事(競技など)に大きく左右されるのも事実です。(笑)
四季のある日本では、どんなに寒い冬でもこれから春が訪れ、夏もやってきます。毎年どんな1年になるのかワクワクすると同時に不安も襲ってきます。今年こそ良い年になりますように・・・

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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