コラムColumn

グリーンキーパーのひとり言40

トーナメントのコース管理

長期予報の「空梅雨」は、またまたはずれ、「高温多湿の梅雨」に頭の痛い日々です。
ところで日本でも毎年様々なコースでプロゴルフのトーナメントが開催され、近年は遼くんや藍ちゃんの影響もあって大変盛り上がっています。 ゴルフ業界にとっては素晴らしいことで、我々もその恩恵を賜りたいのですが、現実は厳しい毎日が続いています。
私はグリーンキーパーであると同時に自称「ゴルフオタク」なので、メンテナンスの勉強も兼ねてトーナメント開催コースに足を運び、時にはそのコースのキーパーと意見交換などもしています。過去には男子トーナメントの日経カップを経験したこともありますが、今なら「こうすればよかった」と思うことも多々あり、色々な思いでトーナメントを見ています。
今回は一般には知られていない裏話を含めて、「トーナメントに関するメンテナンス」について、話をしたいと思います 。

  • 今年のマスターズ

  • オーガスタの管理①

  • オーガスタの管理②

  • 清澄のゼブラカット

  • トーナメント時のラフ

  • 日本オープンのティー刈

残念ながら私には経験がないのですが、近隣のキーパーにもマスターズの観戦や全米オープンの管理ボランティアを体験したうらやましい人(Hさん!あなたの事です・・・)がいて、貴重な話を今年もうかがいました。 がしかし、「百聞は一見にしかず」です。
どんなに人の話を聞いたり写真をみたり、あるいはTVの解説を聞いても、自分の目で見たのとは違います。実際に国内ツアーでテレビを見てから会場に行ってみると、「あれっ」というギャップも多く勉強になります。
上の方に、恐ろしい数のフェアウェイ刈機が作業している写真がありますが、これは今年のマスターズ(オーガスタナショナルGC)のものです。
一般に芝刈りは機械の行きと帰りで芝草が少し寝るので「ゼブラカット」と呼ばれる縞模様がつきます。(サッカーのワールドカップでもお馴染みですよね・・・)
しかし近年のメジャー(4大大会)では、ボールのランの公平性やクラブの抜けの問題から、美観よりも「同一方向に刈る手法」を採用しています。ただし、大会中の時間内にこれをするには、おびただしい数の機械とオペレーターが必要です。100人以上の管理スタッフを要するメジャーには、通常管理では考えられないようなスケールの話が数多く存在します。

  • 綺麗に整備されたバンカー

  • オーガスタのバンカー

  • 清澄のバンカー

バンカーの整備もトーナメントではとても重要な位置づけです。まず、プロや上級者はやわら過ぎるバンカーを嫌います。そこで、砂の入れ替えなどをする場合には時間の余裕が必要です。私が担当した試合では、ディレクターから「2年以上前に完了させてほしい」と要請されました。やむを得ず補充する場合は、古い砂と混ぜたり、化粧程度に薄く被せるなどの工夫もします。
通常は機械均しの後、竹ぼうきでグリーン方向にかすかなラインが出るように掃くのですが、オーガスタでは なんと!ローラーを使用しています。以前に二クラウスが、「バンカーはハザードであって、打ちやすく整備しすぎるのは問題だ・・・」といってわざと砂面に凹凸をつけて、物議をかもしたことがありましたが、ほとんどのトーナメントでは鏡のように平らにし、エッジもくっきりとラインだしをします。(もちろん、エッジラインはルール上も重要で美観のみではありませんが・・・)

  • グリーンの転圧ローラー

  • オーガスタでの計測

  • 練習風景

トーナメントのグリーンは通常のプレーでは考えられないようなシビアな面に仕上げていきます。転がりを速くするために刈高を下げ(2.7mm~3.7mm程度が最近の刈高)様々なローラーをかけることで凹凸をなくします。
グリーンのスピードはスティンプメーターで計測され、11フィートとか12フィート1/2などと発表されますが、あくまでも目安で、ほとんど平らな面の無いオーガスタでは数値は公表されません。
グリーン面の硬さ(コンパクション)も硬度計で量りますが、この数値は現場の止まりやすさと必ずしも連動しないので、あくまでも目安です。
今年のぺブルビーチ(6月の全米OP)でポアナ(スズメノカタビラ)の斑模様のグリーンが話題になりましたが、いくら水を切って硬くしたいとしても、あそこまで凹凸でラインが出ないのはいかがなものか?というのが正直な感想です。海外の選手や欧米の経験をしてきた選手が、「日本のグリーンの繊細さは世界一!」と賞賛するのも頷けます。

  • 三好CCの練習場

  • 太平洋Cの練習場

  • ギャラリープラザ

その他にも、ギャラリーの通路の確保や池の整備など、大会準備ならではの作業も多くなりますが、私の経験からトーナメント会場の条件として必要不可欠なものがいくつかあります。
 
 ① 芝から打てる250Y以上の練習場
 ② ギャラリープラザ(売店や休憩所、イベント会場など)の用地確保
 ③ 近隣のギャラリー駐車場の確保
 
このような条件から、毎年開催されるコースか27Hや36Hのコースが選ばれることが多くなります。

  • スコアボード

  • トーナメント風景

  • 大会終了

開催時期、天候などによってコース管理スタッフは眠れない1週間が続きます。
しかし無事終了したときの達成感を思い出すたびに、あの緊張感と学生時代に文化祭を成功させたとき(笑)のような喜びを清澄のスタッフにもいつか経験させてあげたいと願っています。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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