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グリーンキーパーのひとり言9

ドライスポット

近年、ベントグリーンの床土が砂に変わり、いわゆるサンドグリーンになったのをきっかけに、グリーン上には、このような名前のやっかいな乾燥害が発生するようになりました。
「乾燥しているのだから水をやれば良いのではないか?」と皆様は考えられる事でしょう。確かに散水をして、その水が根まで達し、吸収されれば何の問題もないのですが、一度、撥水状態に陥った根圏は全く水分をよせつけない「ドライスポット」になってしまうのです。
「しぼってカラカラに乾いたタオルに水をかけても、なかなか吸水しない」といった状態を想像していただけると分かり易いでしょうか?。

  • ドライスポット①

  • ドライスポット②

■ 発生原因
 
では、なぜサンドグリーンの中にこのようなエリアが発生するかという話になると確かな答えは出ていません。
しかし、現時点で有力な説は、根圏に存在する有機物の中で撥水性を持ってしまった悪玉有機酸が蓄積する事によってドライスポットを引き起こすのではないかと考えられています。
 
■ 対策
 
「一度発生したドライスポットには散水効果がない」と書きましたが、そのままにしておくとグリーンの芝が枯れてしまいます。
そこで我々は、様々な対策を取って処理する訳ですが、その最も代表的なものは、界面活性剤を利用した方法です。
業界内で浸透剤と呼ばれる界面活性剤は、表面張力で水を通さなくなった物を親水性に変える力があり、浸透剤の到達部分までは水が入り易くなります。しかし、実際にはこの効果も上から5cm程度が限界で、根の活性を上げたい10cm以下のエリアは改善されません。

  • 浸透剤

  • 浸透剤散布風景

そこで我々が考えだしたのが、大きな筒を使った浸透方法です。
特大のホールカッターのようなステンレス製の筒をつくり、その中に水を溜めておくと、自重で徐々に水位が下がっていきます。
すると不思議な事に、あれだけ撥水性を示していたドライスポットも水位の下降分だけ下まで湿った状態になるのです。この水に浸透剤や微量の栄養分を加えておくとドライスポットは回復し、そのシーズンは乾燥する事がありません。
ただし、この方法は手間がかかることが最大の難点です。

  • ドライスポット処理①

  • トライスポット処理②

近年、サンドグリーンになってグリーンの質は格段に向上してきました。
しかし、その一方で部分的な乾燥害(ドライスポット)の問題は毎年やってきます。その予防方法や新資材など試行錯誤を繰り返していますが、 なかなか完璧なメンテナンスはできていません。
今年も夏の間はその他様々な問題と合わせて眠れない日々が続きます。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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