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グリーンキーパーのひとり言51

バンカー砂入替工事

この時期は「三寒四温」といって、寒暖を繰り返しながら春を向かえるのですが、今年は2月初めに異常に暖かくなったものの、その後は続けて寒波が降りてきて気温が上がりません。
芝地も凍結が無くなり、地温が上昇すると様々な作業が待っているのですが、もう少し先のようです。そんな中で今回は数年問題のあったバンカーを改修することにしました。
バンカーの底には排水管と砂利が入っていて雨水を逃がすのですが、8番ホールの右バンカーは、この砂利が長年の間に上がって砂と混ざり、ショットの度に砂利をグリーンに飛ばしていました。

  • 古い砂出し

  • 排水資材撤去

  • 砂利出し

まず古い砂をバンカーから出す作業をします。この砂は管理棟に持ち帰り、砂利をふるいにかけて取り除いた後、新しい砂と混ぜて再利用するのです。今回は新しい排水用資材を使用するため、古い排水管や砂利なども全て撤去します。

  • ドレインブロック埋設

  • 不織布設置

  • 67袋埋設状況

バンカーは排水設備があっても長年の間に水の抜けが悪くなります。その時にたまる所を掘って処理するので、下に砕石や砂利を使うと砂の上に混ざり、今回のようにプレーに支障が出てきます。そこで「ドレインブロック」という穴のあいたプラスチック片をネットに詰めたものをこの工事では使用してみました。私の印象では、「そばがら枕」に似ています。(笑)
浅い溝を掘ったら2列に並べていくだけなので、作業性は抜群ですが、あとは効果に期待しています。不織布は砂の目詰まりを防止するために敷きますが、バンカー均し機で引っ掛けないように設置することが重要です。

  • 末端マス設置

  • マス周辺1

  • マス周辺2

最後に最も低いところに集水マスを設置し、外部の本管に流します。マス周辺はドレインブロックの数を増やし、大量の水を処理できるようにしています。これまでの類似した排水資材は、効果は大きくてもコストが砂利やパイプに比べて割高で、なかなか採用されませんでした。今回は廃プラを利用したユニークなもので経済的です。

  • 砂入れ作業1

  • 砂入れ作業2

  • 完成(雨上がり)

排水基盤が完成すると最後に砂入れです。古い砂をふるいにかけて砂利を無くしたものと新しい砂をミックスして使用しました。その方がコスト削減になるだけではなく、砂が早く落ち着くからです。
このバンカーは元々すり鉢状で難しかったのですが、より原型に近くなったことでさらに厄介になりました。しばらくの間は落とさない方が賢明です。(笑)
バンカーは「砂がしまっていて硬い」時も「砂が多くて軟らかい」場合にもプレーヤーから苦情が出ます。しかし本当は「軟らかいバンカーほど難しい」のです。プロのトーナメントディレクターが、「砂の補充は最小限に・・・」「総入れ替えは、3年前には終了して下さい」などと口うるさく言うのはそのためです。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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