コラムColumn

グリーンキーパーのひとり言16

池護岸工事

寒かった冬もようやく終わり、遅い梅と、早い桜が同時に咲く変な?春を迎えています。
日本芝もほんの少し芽を出し始め、いよいよシーズン到来です。 ゴルフ場では、なるべくシーズン中のお客様に良いコンディションでプレーして頂けるように、冬の間に様々な工事をします。
今回は以前コラムにも書いた「暗渠排水工事」やカート道の補修工事の他に、18番ホールの池周辺を直す「護岸工事」を3月に行いました。

  • 暗渠排水工事

  • カート道補修工事①

  • カート道補修工事②

清澄ゴルフ倶楽部には大小合わせて約10ヵ所の池がありますが、開場以来13年経つと水際が洗われてえぐれたり、周囲の枕木が腐って壊れてきたりと危険ヵ所が出てきました。
18番ホールでは周囲の芝地が陥没して刈込み機械のタイヤが落ちる事故も起きています。このまま放置しておくと景観上見苦しいばかりでなく、プレーヤーの落下事故が起きては大変という話になり、今回の補修工事が決定しました。

  • 陥没ヵ所

  • 応急処置①

  • 応急処置②

今回の工事池は当倶楽部のシンボルとも言える池で、ビーチバンカーと同時に周囲に枕木を多用してあり、景観上はすばらしいものです。
そこで、今回問題となったのが護岸に使用する材料です。
枕木はピート・ダイ設計のコースに代表されるように、ゴルフ場景観に合った素材ですが、10年以上経つと必ず腐ります。そうかと言って、既製品の丸太擬木を池の一部に入れるのはミスマッチです。
そんな時、ある材料屋で見つけたのが、この擬木枕木です。

  • 擬木枕木

  • 使用例①

  • 使用例②

本物ではないので、あまり大きな声では言えませんが、実はプラスチックです。様々なゴミから発生した「廃プラ」を利用したムク材で、これまでの製品との決定的な違いは、「型」が本物の木で取っているところです。
ですから、木目が1本1本バラバラで、本当にリアルな枕木になっています。
 
半永久的で見た目が良いばかりでなく、プラスチック素材はクギやネジが使えるためにゴルフ場工事に合っています。プレーヤーから見ても、ボールの跳ね方が木と同じで、やわらかく優しい感じがするでしょう。親会社がセメント会社なので怒られそうですが、コンクリートでは、この感じが出せません。(笑)

  • 工事中①

  • 工事中②

  • 工事中③

  • 工事中④

  • 工事中⑤

  • 工事完成

3月末、無事工事も終了し、シンボルの池に元の景観が戻ってきました。今回の工事で終了したのは18番側の一部(130m)です。
実は本当の問題は、残り3分の2に当たる、本物の枕木部分を今後どうやって補修するか?です。
 
あと5年は、何とかごまかせそうな気がしますが、10年は無理でしょう。
今回の経験を生かして、最も良い方法をそれまでに検討したいと思っています。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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