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グリーンキーパーのひとり言49

渇水の夏

9月22日夜に突如降り出した雨は翌23日まで続き、この夏の当倶楽部の水不足を一気に解消しました。8月の月間雨量は僅か22.2ミリ。それなのに、この日1日で167ミリの降雨を記録しました。しかも台風などの特別な気象条件ではありません。このコラムでも近年の異常気象について度々触れてきましたが、本当に異常です。
コース内の散水用水は3番から4番ホールに向かう途中にある巨大な貯水池でまかなわれています。面積が1万㎡近くもあるので、深さ3m使えるとして約3万トンの水量があります。ところが、この夏の渇水は開場以来初めて、グリーン以外に散水できない貯水量にまで追い込まれました。井戸水源の無い当倶楽部では、雨水のみが頼りです。

  • 焼けたコース

  • 渇水の貯水池

  • 渇水の貯水池

お盆の頃には、水深が2mを切っていましたが、正直その頃には「近々雷雨か台風が1度くらい来るだろう・・・」と思っていましたから、例年通り散水作業を懸命に続けていました。ところが水は使うばかりで減り続け、8月末にはフロート付き水中ポンプが底についてしまいました。このままでは泥を吸い続けてしまうため、設備業者と相談し緊急手段として橋の上からワイヤーで宙吊りすることにしました。このまま最低限のグリーンとティーだけに散水を続けると、今度はおよそ10日間でポンプが水から出過ぎて吸い上げなくなるという問題が発生します。

  • ワイヤー宙吊り作業

  • ワイヤー宙吊り作業

  • 吊り上げたポンプ

そして9月11日。水位が回復するほどの降雨がないまま、想定通り既存のポンプでは水をタンクに送れない事態が訪れました。
毎日35度を超える猛暑の中で、ベントグリーンにタンク車などで人力散水し、凌げるのはせいぜい2,3日でしょう。その間に次の手を打たなければなりません。緊急事態であることを会社にも説明し、水位が下がってもギリギリまで吸える横置きのポンプを設置することにしました。もちろんこの小さなポンプでは夜間のグリーン用スプリンクラーを使用するだけで精一杯ですが、人力手作業とは比べ物になりません。

  • 緊急横置きポンプ

  • 緊急横置きポンプ

  • 新ポンプ送水管

この緊急用ポンプは順調に稼働し、9月になると適度な雨と気温の低下で先が見えてきました。そして冒頭の22日の大雨!
長い夏が終わりました。

  • オーバーフロー嵩上げ

  • オーバーフロー嵩上げ

  • 水量の戻った貯水池

  • 水量が増し浮いたポンプ

  • 緑の戻ったコース

  • 緑の戻ったコース

今回の渇水は本当に苦しい経験でしたが、同時に来年以降の対策を考えるよい機会にもなりました。貯水池に水が貯まるための排水経路を再確認したり、根本的な貯水量を増やす手段としてオーバーフローのマスを嵩上げする作業も行いました。これによって今後は5000トン程度これまでよりも増える見込みです。散水に500トン(1日)使用するので、10日間延命することになります。(笑)
ゴルフ場の芝が植物である以上、その生育に水は欠かすことができません。
同じ地域のゴルフ場でも散水用の水源や設備は様々で、それぞれ違った問題を抱えています。しかしプレーヤーの要望はただ一つ!「綺麗な緑であること」  来年以降もグリーンキーパーの葛藤は続きます・・・

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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