コラムColumn

グリーンキーパーのひとり言55

芝の種類

埼玉県の中央に位置する当倶楽部では、4月、5月の降水量が例年になく少なく、営業的にはゴルフ日よりが続いて良かったのですが、コースメンテナンスは散水作業に追われる毎日でした。(ちなみに雨量は、昨年4月164ミリに対し、今年は49ミリ)
記録的な降雪により満水だった貯水池も、現在は70%以下に減っています。5月下旬に少しまとまった降雨があり一息つきましたが、今年の夏もどうなることやら心配です。

  • 散水風景

  • 芝補修作業

  • 現在の芝補修箇所

4月から12番ホールのクリーク脇や、13番ホールのバンカー周りなど、生育不良箇所を土壌改良し、大面積で芝張りをしましたので、その散水にも多くの時間を要しました。しかし現在はその甲斐あって、かなり綺麗になっています。

  • ベントグリーン(清澄)

  • コーライグリーン

  • バミューダグリーン

今回は、これまでにも何度か話題にはしていましたが、グリーンの芝生の種類について考えてみたいと思います。ベントグラスは、清澄でも使用している芝で、日本のグリーンでは何らかの形で80%以上のコースが採用しています。「何らかの形」というのは、世界基準から見ると、特殊な設計である2グリーンが多くみられるために、例えば1つはベントで、もう1つはコーライというようなケースです。
そして最近業界で注目が高まっているのが、暖地型のバミューダグラス。一昔前には、その1品種である「ティフトン」という名前が有名になりました。ある程度知識のあるベテランプレーヤーにはあまり印象が良くない芝かもしれません。これはフェアウェイのコーライやラフのノシバに混入し、タチの悪い雑草としての扱いを受けることが多いからです。しかし現在グリーン用に開発された新種のバミューダグラスは、暑さに強いという利点は活かしながら、ベントグラスに負けない転がり(スピード)をつくりだせる可能性があります。

  • 沖縄のバミューダグリーン

  • 米国のバミューダグリーン

  • 米国のバミューダグリーン2

近隣のゴルフ場でも、これからの生き残りを賭けて、一旦ベントの2グリーンにしていたものを、再度暖地型のバミューダグラスに改造する動きが出てきました。
「再度」というのは、20年前、2グリーン制のほとんどのコースが、1面にはコーライ芝などの暑さに強い芝を採用していたからです。それを現時点では多くが、ニューベントの採用と共に2ベント化しています。さらにここでは、コーライグリーンが何故嫌われていったのかもお話する必要があるでしょう。
グリーン上でのプレーの醍醐味は何といってもスムーズな転がり!
プロ競技のテレビ放映などで目が肥えてくると高速グリーンへのニーズが一気に高まります。春の祭典マスターズトーナメントなどの影響も大きいといえるでしょう。
同時に寒地型のベントグラスに対しては、我々のメンテ技術も年々上がり、良い時期には高速グリーンに仕上げることが可能になっていきました。それに対して夏場のコーライ芝は、葉が硬く、低刈に強くないため、見た目も綺麗にするのが困難です。冬場は休眠するのでスピードは出ますが色が無く、隣にある美しいベントグリーンを使わない手はありません。
つまり暑い時期にこそ活躍して欲しいのに、コーライグリーンはこの時期が最も転がりが悪いために人気が無いのです。良いパットのボールが、カップ手前で、急ブレーキ!
過去にこんな経験をされた方も多いはずです。それでもメンテナンスに優れたコースでは、コーライグリーンを良い状態で維持している所もわずかに残っています。しかし、予約の電話で「コーライグリーンなら他(のゴルフ場)に行く!」と言われれば考えてしまうのは当然の流れでしょう。

  • ゴーローン施工

  • 厚い目砂

  • チャンピオン発芽

では再注目の暖地型芝バミューダグラスはどうでしょうか?
暑さに強いという点では本当に素晴らしい!
ベントグラスがグッタリしている真夏でも、水さえあれば(排水不良はダメですが)生育旺盛です。その上、低刈りすることで、滑らかさと芝密度をつくっていけるので、葉がベントグラスよりは硬くてもスピードが出せるのです。最新の品種では刈高2mm台まで低刈りが可能と言われています。同時に面の硬さも出るので、ボールマークはほとんど凹みません。ただしその分、ワンバウンド目でボールのスピンが解ける点はコーライに似ており、バックスピンの醍醐味は少なくなります。この芝は耐寒性という点は当然弱く、コーライ芝よりも白く休眠します。2グリーンでは、7、8、9月にメインで使うことになるでしょう。
当倶楽部は1グリーンのため、採用の可能性は低いのですが、オーバーシード(冬季に寒地型芝の種で緑にすること)などの技術がどの程度いかせるのか?等のテストで、ナセリに一部植え付けをしてみました。
バミューダグラスはその他の芝と少し植え付け方法が異なります。種やソッド(板状の芝)ではなく、土を洗って茎や根をほぐしたストロンをばらまき、砂などを保護材として被せて芽が出るまで散水管理します。今回は「チャンピオンドワーフ」という品種ですが、ストロンを生物ネットに挟んだ「ゴーローン」という名前の製品をメーカーの協力で使用しました。まだ僅かに芽が出てきたところですが、併設するベントグラスのナセリと最終的には同じ刈込み(3mm台)でどのように仕上がるのか今から楽しみです。
もちろん現在のベント1グリーンを問題なく夏越し続ければ良いのですが、猛暑記録を毎年更新している現状では、様々な事を想定しておく必要があります。
プレーヤーの要求はただ一つ!
「滑らかで美しく、綺麗に転がるグリーン」ですから・・・

  • 満水の貯水池

  • 濁流

  • カジュアルウォーター

追記
このコラムを掲載する直前に、待望の雨が降りました。しかし降りすぎです・・・

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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